琥珀色のチーズとともに
夜、突然思い立ってチーズを燻製した。
単に美味いアテ欲しさにやったこと。
ただ、冬としては暖かかったその日、冷蔵庫に冷やしたビールとは
無縁ではない。
終売と噂されるベルギービールを含むヒューガルデン社のビール。
飲むならばそれなりのアテが必要だという意識はあった。
スーパーで安売りで買った塊のチーズ。
これを薄切りに切る。
燻製にしたときに口の中に香ばしさの広がる表面がとても美味い。
それがため、できるだけ表面積を増やすため薄切りにする。
概ね5ミリくらいか。
面倒な燻製はできないので、ダンボールの中に餠焼きの網をぶら
下げてそこにチーズを置く。
あとはチップに火をつけて、ダンボールの蓋を閉めて数時間放置。
出来上がったチーズは表面が飴色に変化している。



これらは、思い出のビールということもある。
最初に出会ったベルギービール。
当時の思いを含めれば、その味わいは格別だ。
それぞれの味の違いは、それぞれの美味さのバリエーション。
グラン・クリュは久しぶりに飲んだが、やはりこれは美味い。
今まで飲んだビールの3本の指に入る。
フルーティさと飲みごたえのバランスがとてもよい。
ホワイトはこれと比べてグッと軽くなる。
喉ごしもよい。甘さと酸味のバランスが心地よい。
禁断の果実は味が急転。
味という面では一番パンチ力がある。
最初に飲んだ店で、アダムとイブの絵は書いてあるものの、
これが一番酔いが回りますよ、と言われた。
その日、その言葉どおりさんざん酔っ払ってしまったのだが。
あの頃よりも年はかなりとったが、さほど成長したわけでもない。
やはり当時と同じように酔ってしまっている。
その頃の純情さとか若さとは、幾分失ってしまっているけれど。
その頃を思って飲み干したその苦さはその欠片か。
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